浮気してるくせに平然な彼






 皆に言わなくちゃ。


 ギュッとスマホを握りしめ、


「あの………陸くん今、近くのトイレにいるみたいで。良かったら行ってきて良いかな??」


石田くん松本くん永倉さんに尋ねる。



 てっきり“ウン”と言ってくれると思っていたのに、三人は顔を見合わせ曇った表情になった。



「…………橋本。俺たちもついてってイイ??」


「えっ!?ダメだよ。話し合いできなくなっちゃう…………」


 石田くん達まで来てしまったら、陸くんは絶対本音を言わない。話し合いする意味がなくなってしまう。



「じゃあ隠れて橋本達の会話聞いてる。ヤバくなったら連れ出すから。それならイイ??」


「……………うん」


「だから、ここで話し合いが解決する事がないように陸をこれでもかってくらい煽って。ヤバくなる前に絶対何が何でも止めるから。陸の理性をグチャグチャにして」


 ………こんな事を言い出す石田くんに、頭が真っ白になる。



「………………何をすれば………」


「キスでもねだって、いっその事”今晩抱いて欲しい”って言えばイイ」