浮気してるくせに平然な彼





 恐る恐るサナの目を見ると、ウンとゆっくり頷いた。


 私の気持ちはサナにバレてしまっていた。



「………で、着いて早々、美羽達は6階の階段で何してたの??」


 今その話が出るとは思っておらず、思い出しては顔が赤くなる。



 …………私はサナの気持ちを聞いてないのに、話して大丈夫なんだろうか。


 なかなか口を開こうとしない私に、サナは『当ててあげようか??』と得意げに悩むぞぶりを見せた。


「告られた??」


 “違う”と答えてイイものか分からなかったけど、告られてはいない為、首を横に振る。


「じゃあ、キスでもされた??」


 この質問にも首をゆっくり横に振る。


 …………言えない。


 サナが堀内くんの事を特別に思ってなかったとしても、“抱きたい”って言われたなんて、言えるワケない。