“サナに響く何か”を考えてる最中、俺の横を橋本と陸が通り過ぎて行った。
……橋本は心配そうに振り向いてくれたけど、俺を敵視している陸が“早く行くよ”と、橋本の手を引いて行ってしまった。
当然、陸は自然とサナ達の横も通りすぎる。
平然としている陸がムカつく。
何事もなかったように、自分だけ逃れようとしている陸が許せない。
だから、最後の悪あがき。
「サナ、オマエを助ける」
陸にも聞こえるように、ワザと大きな声でサナに向かって言葉を発した。
橋本は助けても、サナを助ける気なんて全然なかった。
だけど、お前がこうなってしまったのにも理由はあるから。いつまでも陸ばっか追いかけてんじゃねぇよ。
”助ける”これだけしか伝える事ができずに、サナの見方をしている友人が『何様のつもり』と、俺に毒を吐いてサナを連れ去ってしまった。
結局話し合いができてない状態で、最後のチャンスを逃してしまった。
自分の無力さに、反吐が出る。
ゴメン、石田、松本。
……………もしかしたら
俺、無理かもしれない。



