放課後になりサナが帰ってしまわないように、ちらちらと目で追いかけていると、サナが鞄を持ち、最近一緒にいる友達と教室を一緒に出ていこうとしていた。


 すかさず自分の席から立ち上がり、『待って』と、サナの腕を掴む。


「離してよ」


あからさまに嫌な顔をして睨まれたけど、気にしてる場合じゃない。


 だって、もう、今しか時間がない。


「話がある」

「私はない。堀内なんかと話したくない」


 ”堀内なんかと話したくない”と、俺を拒絶するサナを庇う為か、『やめてよ!これ以上サナに絡んだら先生に言うから』と友達が割って入ってきた。


 友達が邪魔すぎる。
 サナと怒鳴り合う覚悟で話し合うつもりだったのに、俺に友達が邪魔をする。



 掴んでる俺の手を、離すように叩かれ『行こう』と、友達がサナの腕を引いて歩き出した。



 今しか時間がない。だけど、こんな所でサナが浮気していた事を言う事もできない。『だから話し合いたい』なんて、そんな事この友達に言えるワケない。


 考えろ、サナに響く何かを、考えろ。