「浮気されたヤツが浮気なんてするワケねぇだろ、な、橋本??」


 お前らの方が浮気してんだろ、と遠回しに言ってみせる。


「美羽がいるのに、そんな事するワケねぇじゃん」


否定でもすればどうにでもなると思ってるらしい。



「そんなに疑うなら証拠はあんのかよ。俺とサナが浮気してるっていう証拠」



 勝ち誇った顔を俺と橋本に向ける陸。


 ぶっちゃけ今は証拠はない。写真を撮ったワケでもないし、音声があるワケじゃない。


 だけど今は証拠がないだけで、勝ち誇った顔をする、陸の緩い考えに、笑いそうになった。


「証拠はないけど私………『橋本、もうイイから』



 浮気現場を目撃した事をコイツらに言おうとしている橋本に、『喋るな』と、止める。


 これからも証拠が出ないなんて思ってるほど、現実はそんなに甘くない。