浮気してるくせに平然な彼






 ………………怖い。 ど、どうしよう。


 そう思っても、周りには人なんていなくて、私とその男達だけだった。


 当たり前だけど助けを呼べる状況じゃない。



「あ、あの、私、暇じゃ、ない………です」



 怖くて声が上手く出ない私に『ギャハハ! カワイイねー! 大丈夫! 怯えるようなことはしないから』と、私の腕を無理矢理グイグイ引っ張る。


 ………怖い、イヤだ、助けて。



「陸くん………」


 そう名前を呼んでみるも、今日起きた事が脳内で鮮明に(よみがえ)った。


 何を期待してるの私。 陸くんはサナとデート中じゃん。……助けにくるハズないじゃん。


 どうする事もできず、ジッと目を閉じて恐怖心に耐えていると、


「橋本が待ち合わせしてた友達って、そのお兄さん達?」


笑いながら私の元へ戻ってきた堀内くん。とっくに帰ったはずじゃ………


 不良達は『なんだテメェは!!』と、堀内くんに怒鳴っている。



 堀内くんは私を後ろから抱き寄せ、



「お兄さん達、この子かなり尻軽女。 誰にでも抱かちゃうどうしようもないビッチ」



とんでもない事を言い出した。