顔色一つ変えないで、平然とした顔で言う陸くんに、息が詰まりそうだった。



「陸くん前、“証拠は?”って言ってたよね??今、サナとの浮気、認めたよね??私、陸くんと別れる権利あるよね………??」



 出てくる言葉を詰まらせながら、ゆっくりと陸くんに伝えるも、


「今のが本当に証拠になんの?? ソレを俺が言ったって言い切れるの?? 音声盗聴器でも忍ばせてた?」


 罪悪感なんてこれっぽっちもない顔で。『俺、サナと縁切ったって言っただけで、浮気してたなんて言ってないから。被害妄想もいい加減にしろよ』と終いには笑いだす陸くん。



 …………………狂ってる。


 この耳で、今、数秒前に聞いたのに。


 それでさえも『そんなの証拠にならないから』と笑う陸くんに『嫌い、陸くんなんて大嫌い!!!』強く叫んで陸くんから逃げ出した。


 疲れた……………
 泣きながら走って、走りながら泣いて。


 気がつくと、サナと陸くんの浮気現場を目撃したショックで二時間泣き散らかした場所へたどり着いていた。