「あれ、名月。ヒナは?」

「球技大会の係」

「は?あいつが?なんで?そんなの嫌がるだろ」

「あみだくじ」

「…ふーん」



せっかく帰り寄りたい所があったのに。

言えよな。



「あんたは持ってないの?あのー、なんだっけ?キーホルダー」

「キーホルダー?」

「ゴッホだっけ?」



ゴッホ…

ヒナが行った美術館の…



「俺は持ってないけど…」

「二人でいったんだからお揃いで買えばよかったのに」



なにを、言っているんだ…?

あいつは一人で美術館に行ったんだ。



「二人でいったって…ヒナが言ったのか?」

「え?そうだけど…」



ヒナ…?

お前、本当は誰といったんだ?

どうして俺となんて嘘をついたんだ。



急にまた不安が募る。


違う。

あいつはそんなやつじゃない。

俺以外の男とは話すことも出来ないやつなんだ。


違う。絶対に違う。



「ちょっと、どうしたの?」

「いや…」

「あんた達、何かあったでしょ」

「そういうわけじゃねえけど…」

「ねえ、いいこと考えたんだけど」

「なんだよ」

「遊園地行かない?四人で」

「四人?」



名月はニヤリと笑った。