未練と祝福 〜14年目の永遠の誓い 番外編(3)〜

オレが口をつぐんでいると、目の前の男の人は面白そうに、オレの顔を覗き込んだ。



「こんなところまで、わざわざ、打ちのめされに?」



そのイケメンは、クスクス笑い続ける。



「悪いかよ」

「いや? 略奪じゃなきゃ、オレは構わないよ。さすがに、結婚式に乱入されたんじゃ、ハルちゃんも叶太も可哀想だからね」

「そんなこと、しないし」

「そう?」

「……陽菜ちゃん、すごく幸せそうだったし」



思わず、目の前の人から視線をそらした。



「諦められた?」



答えられない。

そもそも、諦めるって何だろう?

打ちのめされに来た。

実際、幸せそうな2人を見たダメージは大きい。

だけど、それでも心の底から湧き上がる、渇望と言いたいような衝動は何だろう?

オレ、心が狭いのかな?

陽菜ちゃんが幸せそうなのは、良かったなと思うけど、じゃあ、それで安心して陽菜ちゃんへの想いを手放せるかって言ったら、全然なんだ。

気がつくと、オレは青々とした柔らかそうな下草の生えた地面を見つめていた。

自分の心の狭さと言うか、自分しか見えていないところと言うか、そう言う人間としてまだまだなところを目の当たりにして、何だか、すごく情けなくなった……。

ふっと地面に影が差して、頭に大きな手が降って来た。



「わっ」



思わず顔を上げると、わしわしと頭を撫でられた。



「君、可愛いな」