ため息を吐きながらも、水森は続きを話してくれた。
「って訳で、姉ちゃん情報なんだけど、シークレット祝福ツアーを企画してるんだと」
「……シークレット祝福ツアー?」
「結婚式の当日、内緒で現地に行って驚かせるんだってさ」
夏休みの広瀬先輩の誕生日、車で数時間はかかる避暑地の教会で結婚式。
陽菜ちゃんの体調が悪かったら中止になるから、本当は家族だけで行う予定だった結婚式。
もしかしたら、結婚式も披露宴も中止になるかも知れないと言う。
気持ちに整理は付いていた……と思っていた。
ただ、陽菜ちゃんを見守れたら、陽菜ちゃんが幸せなら良いと思っていた。
けど、実際には、全然付いていなかったらしい。
だって、オレ、思わず願っていた。
結婚式が中止になれば良いって。
なんてひどいやつなんだ。
自分で自分が信じられなかった。
オレ、どうかしてる。
陽菜ちゃんの底なしの優しさを思い出して、胸が軋むように痛んだ。
「おーい。さーとるーくーん」
目の前をひらひら行ったり来たりする手のひらを払いのけ、気が付くと聞いていた。
「……場所と日にち、教えて」
「え!? 略奪!?」
「……なわけ、ないだろ」
いつまでもウジウジ、影から見ていちゃダメだ。
この気持ちに区切りを付けなくちゃ、ダメだ。
「じゃ、祝福?」
って雰囲気じゃないのは、オレの表情から分かるらしい。
「……打ちのめされに行ってくる」
そう言うと、複雑そうな顔をしながらも、水森は、
「じゃ、聞いとくよ」
と請け負ってくれた。
☆ ☆ ☆
「って訳で、姉ちゃん情報なんだけど、シークレット祝福ツアーを企画してるんだと」
「……シークレット祝福ツアー?」
「結婚式の当日、内緒で現地に行って驚かせるんだってさ」
夏休みの広瀬先輩の誕生日、車で数時間はかかる避暑地の教会で結婚式。
陽菜ちゃんの体調が悪かったら中止になるから、本当は家族だけで行う予定だった結婚式。
もしかしたら、結婚式も披露宴も中止になるかも知れないと言う。
気持ちに整理は付いていた……と思っていた。
ただ、陽菜ちゃんを見守れたら、陽菜ちゃんが幸せなら良いと思っていた。
けど、実際には、全然付いていなかったらしい。
だって、オレ、思わず願っていた。
結婚式が中止になれば良いって。
なんてひどいやつなんだ。
自分で自分が信じられなかった。
オレ、どうかしてる。
陽菜ちゃんの底なしの優しさを思い出して、胸が軋むように痛んだ。
「おーい。さーとるーくーん」
目の前をひらひら行ったり来たりする手のひらを払いのけ、気が付くと聞いていた。
「……場所と日にち、教えて」
「え!? 略奪!?」
「……なわけ、ないだろ」
いつまでもウジウジ、影から見ていちゃダメだ。
この気持ちに区切りを付けなくちゃ、ダメだ。
「じゃ、祝福?」
って雰囲気じゃないのは、オレの表情から分かるらしい。
「……打ちのめされに行ってくる」
そう言うと、複雑そうな顔をしながらも、水森は、
「じゃ、聞いとくよ」
と請け負ってくれた。
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