未練と祝福 〜14年目の永遠の誓い 番外編(3)〜

その言葉に、これまで静かに見守っていたギャラリーが騒ぎ出す。



「よっ! 叶太、男らしい!」

「ハルちゃんに愛想つかされないようになっ!」

「お前、ハルちゃんに結婚してもらえて、ホント良かったな〜」



オレの前にいる広瀬先輩は、友人たちに揉みくちゃにされる。

この人は、あれだけ陽菜ちゃんに夢中で、ベッタリで、なのに、こんなにも心を許した友人がいる。

勝てない。

何一つ勝てるところなんてない。



けど、陽菜ちゃんは、多分どんな広瀬先輩でも好きなんだろうな。



そんな言葉がふと思い浮かぶ。

広瀬先輩だって、今の陽菜ちゃんをべた褒めするけど、きっと、陽菜ちゃんがどんな風に変わっても、この気持ちは変わらないのだろう。

友人たちとじゃれ合う先輩をボンヤリ視界に入れながら、そんな事を考えていると、遠くで先輩を呼ぶ声が聞こえた。



「叶太! おい、すぐ来い!」

「ん? なに?」



走って来たのは、晃太さんだった。



「ハルちゃんが、ワイン飲んだ」

「え!? なんで!?」



そこまでは聞こえた。

その先も何か言ったみたいだったけど、気がつくと広瀬先輩の背中は、ガーデンパーティのど真ん中に消えていた。