広瀬先輩は何も言わない。何も言わずに、オレにしゃべらせてくれた。
「で、教会で陽菜ちゃんのウェディングドレスを見て、幸せそうな姿を見て、で……、打ちのめされてたんだけど、」
そこで、広瀬先輩とオレを取り囲むように見守ってくれていた三年の先輩たちの何人かがプッと吹き出した。
「オレ、ボンヤリしてたら、陽菜ちゃんのお兄さんが来て……」
「え? 明兄がお前をここに連れて来たの!?」
広瀬先輩は驚いたように目を見開いた。
「あ、そうじゃなくて、お兄さんは反対してたけど、晃太さんが……」
「兄貴か!」
広瀬先輩はそう言って、額に手を当て、はあっとため息をついた。
「……まあ、兄貴が連れて来たんじゃ仕方ないか」
ったくもう、とか何とか文句をつぶやきながらも、広瀬先輩はそう腹を立てているようには見えなかった。
そうして、先輩は真顔でオレに向き直った。
「で、ハルのことは諦められたか?」
思わず、ウッと右足を一歩後ろに引くと、先輩はまた大きなため息をついた。
「全然、諦められてないじゃん」
申し訳ない。
そう思えて仕方ないけど、嘘でも諦められたとは言えなかった。
「……ウェディングドレス見ても、幸せいっぱいの陽菜ちゃんの姿を見ても、無理、でした」
苦虫を噛み潰したような顔をする先輩に、ヒューヒュー、「モテる奥さんを持つとツライね〜」なんてヤジが降りかかる。
「で、教会で陽菜ちゃんのウェディングドレスを見て、幸せそうな姿を見て、で……、打ちのめされてたんだけど、」
そこで、広瀬先輩とオレを取り囲むように見守ってくれていた三年の先輩たちの何人かがプッと吹き出した。
「オレ、ボンヤリしてたら、陽菜ちゃんのお兄さんが来て……」
「え? 明兄がお前をここに連れて来たの!?」
広瀬先輩は驚いたように目を見開いた。
「あ、そうじゃなくて、お兄さんは反対してたけど、晃太さんが……」
「兄貴か!」
広瀬先輩はそう言って、額に手を当て、はあっとため息をついた。
「……まあ、兄貴が連れて来たんじゃ仕方ないか」
ったくもう、とか何とか文句をつぶやきながらも、広瀬先輩はそう腹を立てているようには見えなかった。
そうして、先輩は真顔でオレに向き直った。
「で、ハルのことは諦められたか?」
思わず、ウッと右足を一歩後ろに引くと、先輩はまた大きなため息をついた。
「全然、諦められてないじゃん」
申し訳ない。
そう思えて仕方ないけど、嘘でも諦められたとは言えなかった。
「……ウェディングドレス見ても、幸せいっぱいの陽菜ちゃんの姿を見ても、無理、でした」
苦虫を噛み潰したような顔をする先輩に、ヒューヒュー、「モテる奥さんを持つとツライね〜」なんてヤジが降りかかる。



