未練と祝福 〜14年目の永遠の誓い 番外編(3)〜

会場に着くと、陽菜ちゃんのお兄さん……明仁さんは、オレをギロリと冷たく一瞥すると、陽菜ちゃんの元へと向かった。

広瀬先輩のお兄さん……晃太さんは、待っててねと一度、会場の中心に向かうと、ドリンクと皿いっぱいの食べ物を持って来てくれた。



「はい。ごめんね。ハルちゃんのとこには連れて行けないけど、その辺からコソッと覗き見てね」



晃太さんは、ニコッと笑って、



「オレは大丈夫だと思うんだけど、明仁がうるさくてさ。悪いね」



と肩をすくめた。



「え、いえ! ここに入れてもらえるだけでも破格の扱いだって、オレ、分かってますから!」

「そう? じゃあ、オレは行くけど、何か欲しかったら、その辺のテーブルからもらって来るとかしてね?」

「はい。ありがとうございました!」



受け取った皿とグラスのせいで、深く腰を折って礼をすることはできなかったけど、オレは精一杯の感謝の気持ちを込めて頭を下げた。



しばらくは、木陰からコソッと新しいドレスを着た陽菜ちゃんを覗き見た。

ピンクとも水色ともつかない淡いパステルカラーのドレスを着た陽菜ちゃんは、広瀬先輩と一緒に会場の中心に置かれたソファで幸せそうに笑っていた。

楽しげに笑いながら口元に当てられた細っそりした指に、何かがキラリと輝いた。

ああ、きっと婚約指輪だと、ジッと見てはみるものの遠くて輝きしか分からなかった。