最初は脅かせようと近づき、コンコンと助手席の窓を叩くと、運転席にいた先生と目が合った。
先生はハンドルにうなだれるようにうつ向いて、その目は真っ赤に充血していた。
『どうしたんですか?』
人目を避けるようにして走り出した車。
私は流れで助手席に座らせてもらい、気づけば車は海沿いの海岸へ停車していた。
『振られた』
『え?』
『婚約破棄』
婚約者だった女性は親の決めた結婚相手を選んだこと。
元々身分違いのために、女性の両親からは反対されていて、それでも一緒になることを誓ったけれど、最終的に女性は先生を振った。



