ハッと我に返った私は「熱なんてないし!」と威勢よく言い返したところで「……はくしょんっ!」と豪快なくしゃみが出た。
誘発されたように「くしゅん!へっくしゅんっ!」と、くしゃみが次から次へと止まらない。
「やっぱり風邪じゃん」
「違う違う。これはホコリ!ホコリが舞うと絶対……ぶくしゅんっ!!」
今度は鼻水まで出てきた。
だからホコリはキライなんだ。ホコリアレルギーなのかどうかは検査をしてないから分からないけど、こうして絶対にくしゃみが止まらなくなるから。
「そういえばお前はそうだったな」と、零は過去で私がホコリでくしゃみを連発していたことを思い出したようだ。
さっきまで零に妙な感情を抱いてしまって大変だったのに、今はくしゃみでそれどころではない。
「……ぶ、くしゅんっ!!」
「色気がねーくしゃみだな」
「くしゃみに色気とかある?くしゅんっ」
ダメだ。全然おさまらない。
「物を片付けるのは下手なくせにデリケートぶりやがって」
「自分のテリトリーにある物から出るホコリは害がないの!」
「なんだそれ」
「へっくしゅんっ!」
「汚ねーな」
零は汚いと言いながらも、私の鼻水を自分の制服の袖で拭いてくれた。ゴシゴシと頑固な錆びを落とすような強さで拭くから鼻が痛い。
「鼻が取れる……!」
「取れねーよ。つか、くしゃみ止まってんじゃん」
「あ、本当だ。……くしゅん」
「………」
沈黙のあと、先に笑いだしたのは零のほう。
いつも不機嫌で気が立ってるくせに、こんな無邪気で可愛い顔で笑うなんて、少しズルい気がした。



