「でも、なんで私まで連れてくるわけ?」
日直の仕事は私も雑用ばかりで好きじゃない。
「世界史の地図どこにあるか知らねーし」
「自分で探せばいいでしょ!」
「それが面倒だからお前を呼んだんだよ」
つまり私に面倒なことをやれと?
私は「はあ……」と露骨にため息をはきながら、教材が置かれている棚の一番上を指さす。
「あそこ」
すぐに見つけられたのは、私も日直の時に地図を取りにきたことがあったから。教材は元の場所に置いておく決まりだし。
たしか私の時には小さな脚立があった。
隣の席の山田くんは他クラスに行っていていなかったし、背の低い私はそれに登って取った記憶がある。
世界史の地図は巻物のように丸めて保管されていて、取るのは大変ではなかったけど、その瞬間に棚の上のホコリが舞って危うく脚立から落ちそうになったんだっけ。
ホコリって苦手だ。
だから、物で溢れて物置みたいになっている教材室は好きじゃない。
「これ?」と、零が指さしたほうに手を伸ばす。
私は脚立を使ったっていうのに、零はもちろん伸ばしただけで余裕で棚に手が届く。



