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「おい」
1時間目が終わって10分間の休み時間。しいちゃんとファッション雑誌を読んでいた私のもとに大きい影。
「ちょっと、手伝え」
それはいつもなら休み時間でも寝ている零だった。こうして教室で、零から話しかけてきたのは初めてかもしれない。
「え、な、なに?」
単純に私はこの展開にビックリしている。
「いいから来い」と、無理やり手を引っ張られて私は廊下へと出た。スタスタと傍若無人に歩く零を見て、私は声を荒らげる。
「ちょっと、なに?私、しいちゃんと雑誌見てたんだけど!」
それでも零は無言。ワケもわからず次に足を止めたのは教材室の前だった。
「次の授業で使うもの、取ってこいって言われたんだよ」
教材室のドアを開けて、零が面倒な顔をしている。
理由を聞く前に私は勘づいた。
そうか、今日の日直は零だ。
正確には零とその隣の席の女の子だけど、その子は風邪で欠席だとホームルームで言っていた。
その子がいれば零も知らん顔をして押し付けていただろうけど、残念ながらその子はいないし、面倒な日直をやらざるおえないといった事情だろう。



