「莉子は零にキスされそうになったの?」
蓮はまっすぐに私を見つめていて、目を先に逸らしてしまったのは私のほう。
「だ、大丈夫!ただの冗談だから!」
蓮に心配かけたくないし、誤解もされたくない。でもなにより零にキスされそうになってドキドキしてしまった自分を隠したかったのだ。
いつもの蓮なら「そっか」と笑ってくれるのに、今は違う。
「莉子は俺の前だと強がって、本当のことを言ってくれないよね」
切なそうに眉毛を下げたあと、ふわりと私の髪の毛が浮いて、気づくと私は蓮の腕の中にいた。
「れ、蓮……?」
なにが起きたのか困惑しているけど、蓮がぎゅっと私を抱きしめる力を強くするから、これは夢じゃなくて現実だ。
「少しだけ、このままでいて」
恥ずかしさと嬉しさで、私は無言で頷くだけで精いっぱい。まだお風呂に入ってないのに頭がクラクラとした。
15年間一緒に成長してきて、15年間幼なじみだった私たち。
幼い頃にはしなかったこと。幼いままでは見られなかった表情。
少しずつ、私たちの中でなにかが変わっていく予感がした。



