たとえばきみとキスするとか。



晩ごはんは蓮と一緒にオムライスを作った。玉ねぎとピーマンとウインナーは蓮が切ってくれて、私はそれを炒めた。卵は失敗しそうだったから蓮にやってもらい、最後のケチャップは私が担当した。

ふたりで作ったオムライスは予想以上にうまくできた。


「俺のだけ雑じゃね?」

零は相変わらず手伝いもしないのに文句ばかり。


「みんな同じだよ。上のケチャップの絵は莉子が書いた。ネコだって」

テーブルに麦茶を用意しながら蓮が優しく微笑む。


「下手くそ」

「うるさいな!可愛く仕上げようとしたって気持ちだけでもありがたく思ってよね!」

「まあまあ。冷めないうちに食べようよ」


そう、この感じ。

零が冷めた態度をして、私がそれに怒り、蓮が軌道修正するように私たちをなだめる。

これが私たち3人の幼なじみの形。


なのに、どうしてだろう。

同じ味のオムライスを食べて、同じコップで麦茶を飲んで、同じ時間を過ごしているのに、私のふわふわとした気持ちは続いたまま。


――『お前は俺のこと本当になんにもわかってねーよな』

あの時の零の瞳が、ひどく胸に残っている。