零がどうして私のネックレスを切るぐらい苛立ったのか、その理由はまだ分からない。
だけど零の性格は、これでも一応分かってるつもり。
零は自分の中で納得いかないことがあると、沸々とした怒りを内側に溜め込む。
零は自分の気持ちを表に出すのが私以上に下手くそだから。
「……私に対して、納得いかないことがあるの?」
ウジウジと片想いをこじらせまくりな私に零が見ていてイライラするのは理解できる。だけど、それだけが理由じゃない気がする。
これは幼なじみとしての勘だ。
「あるよ」
零は私を見つめていた。それは心臓がおかしな動きをするぐらい、まっすぐに強く。
「な、なに?言ってよ」
「まだ、言わない」
零はそう言ったあと、なぜか私の鎖骨に指を沿(そ)わせる。
「な、なに?」
くすぐったさで身体がビクッとなってしまった。
「ネックレス、直るの?」
「うん。修理に出したから。でも二度とやらないって誓わないと私は零のこと許さないから」
こっちは真剣なのに、零はまたからかうように鼻で笑う。そして鎖骨の次は私の頬へと手を移動させて、そのままお餅のように横に伸ばした。
「い、たい」
なんで零はことあるごとに私の頬を引っ張るんだろうか。



