たとえばきみとキスするとか。



「今、早川を呼びにいこうと思ったんだけど、もう委員会はじまっちゃったみたいで」

「どうしたの?」

「実は……」

私は染谷くんの話を聞いたあと、急いで騒がしい場所へと向かう。


走るのは得意じゃないのに、こんな時だけ私の足は速い。

現場に着くと、そこには人だかりができていて、中心には上級生の男の先輩が3人と、見慣れた顔の男子がひとり。


――『実は3年生とケンカしてて。早川蓮じゃなくて、零のほうが』


染谷くんは自転車置き場に向かう途中で目撃して、戻ってきてくれたらしい。

言っていたとおり、先輩とケンカしてるのは零だった。


詳しい状況は分からないけど、おそらくすでにやり合ったあとのようで先輩たちの顔にも零の顔にも痛々しい傷痕。

「お前、一年のくせに生意気なんだよっ!」と、ひとりの先輩が零に向かっていったけど、零は飛んでくる拳を避けて、そのまま先輩の胸ぐらを掴んだ。


「零、ダメ。なにしてるの……!」

それを止めたのは私だった。

他の人たちが割り込んでいけない雰囲気だったし、幸か不幸か委員会のおかげで先生たちはまだ気づいてない。