たとえばきみとキスするとか。






「ネックレスよかったね。修理が終わったら私に連絡がくるから、そしたら代わりに受け取っておくね」

朝のホームルームがはじまるまでの時間。

しいちゃんはまた山田くんの椅子を借りて、私の席へとくっつけた。


「本当にありがとうね」

しいちゃんがいなかったから、たぶん私は今日も死んだ魚のような目になっていたと思う。


「やっぱり修理費はけっこうするみたいなんだけど」

「大丈夫!直るならいくらでも払うから」

きっと水族館に行けば、きっと同じものが売っている。だけどあのネックレスじゃなきゃダメなんだ。

私の初恋がはじまったネックレスじゃないと持っている意味がない。


「ねえ、見て。いるよ」

廊下が騒がしいと思ったら、そこには他クラスの女子がいる。「寝てる、残念~」なんて言いながら、視線は明らかに零のほうへと向いていた。

昨日の食堂の時からぼんやりと思っていたこと。

私の口から言いたくないし、今は名前を出すことすら躊躇うぐらいだけど……。


「ねえ、しいちゃん。ひょっとして零って人気あるの?」

私は蓮ばかりを見ていたから気づかなかったけど、女子たちの声や雰囲気はどう考えても好意がある。