ビンタのひとつでもしてやればよかった。
あとから沸々とそう思ったけど、怒りよりも悲しみのほうが強くて、私はグスンと涙を拭う。
蓮からプレゼントしてもらった私の宝物。
それなのにムカつくという理由で零は冷酷に引きちぎった。……私が零になにをしたっていうの?
ちょっと親切な部分が見えて見直していたのに、やっぱり零は零だ。相手を思いやる気持ちもない冷たくて怖くて、最低な人。
「莉子?」
1組の教室に入る直前に誰かに名前を呼ばれた。
「ごめんね。お昼ご飯一緒に食べられなくてって……どうしたの?目が真っ赤だよ。なにかあった……」
「うう、しいちゃーん……っ!」
私は悔しい感情のまま、しいちゃんに抱きついた。
「え、り、莉子?」
しいちゃんは突然のことで戸惑っていたけど、私をなだめるようによしよしと頭を撫でてくれた。



