「そんなことより早く食え。お前ただでさえ食うの遅いんだから」
すでにカツ丼を半分食べている零を見て、私は慌てて割り箸をパキリと割る。
「いただきます」と手を合わせて、ご飯を口に入れるとふわりとごま油の香りが広がり、空腹だったせいもあり箸が止まらない。
「……うぷっ……」
口にたくさん入れたせいで、私は漫画のようにご飯を喉に詰まらせてしまった。
「なにしてんだよ」
零は隣で呆れた顔をしていて、すぐに先ほど買った飲み物を渡してくれた。ゴクゴクと流し入れると、喉が開けたように楽になり、やっと息が吸えた。
「あんまり世話焼かせんな、アホ」
「すいませんでした」
普段と立場が逆転してるけど、ご飯も飲み物ももらっている今の私は零に強いことは言えない。
零は私が返した飲み物をすぐに飲んだ。
いわゆる間接キスというやつだけど、幼なじみということもありお互いにそこは気にならない。
零のことは気にくわないし、意地悪ばっかりでムカつくことも多いけど、同級生の男子よりは近い距離にはいる。



