「ほら」
零は不器用に、透明のパックを私に差し出した。受け取るとズシリと重みがあって、まだ温かい。
パックにはメニュー名が記載された付箋(ふせん)が貼られていて、そこには……。
「五目チャーハンだ!」
思わず子どもみたいな声が出てしまった。
零はもうひとつパックを持っていて、それは学食ランキング一位のカツ丼。あの人混みに零が並んだとは思えないし、どんな裏技を?
どうやら零は私の聞きたいことを察したかのように、カツ丼を食べなから言った。
「予約ができるんだよ。2時間目の休み時間だけ」
「え、そ、そうなの?」
たまにお昼どきじゃないのに先輩たちが食堂を出入りしてる姿は見かけたことがあったけど、もしかして予約するためだったのかもしれない。
「なんでそんなこと、零が知ってんの?」
「食堂のおばちゃんから直接聞いた」
「そうなの?話しするほど仲いいの?」
「べつに。たまたまそういう場面があっただけ」
零は人付き合いは下手くそだけど世渡り上手だから、私とは違って要領がいい。



