たとえばきみとキスするとか。




あのイルカのネックレスだけは、なくせない。

だって、私に初恋をくれた宝物だから。


私はもう気づいている。あのネックレスをくれた人物が誰なのか。私の記憶の中にいる男の子は左側にほくろがあった。


どうして〝零〟が、蓮のフリをして私にそんなことをしたのかは分からない。


勘違いした私はあの日から、ずっと蓮に想いを寄せてた。だけど、その気持ちは嘘なんかじゃなかったと思う。

蓮の優しさや暖かさに惹かれた。

追いつきたくて、必死で背伸びをして、その瞳に映りたかった。


でも昨日、蓮から好きだと言われて、私も好きだと言えなかった。

それは臆病という気持ちじゃない。

蓮に片想いしていた以上に私はきっと……。


いつの間にか辺りは暗くなりはじめていた。

外灯が灯り、校舎の明かりが次々と消されていく中で、まだ私はネックレスを見つけられていない。


どうしよう。見つけないと帰れない。

と、その時。雨で重たくなっているスカートのポケットの中でスマホが振動していた。防水のため壊れることはなく、画面を確認すると蓮からの電話だった。