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そして次の日。私の不安定な気持ちの表れのように朝から天気は曇りだった。
蓮は私に気を遣わせないように普段どおりで、零はやっぱり避けるようにひとりで学校に行った。
――『好きなんだ、莉子のこと』
嬉しい気持ちはある。当たり前だ。だって、私は長い間ずっと蓮に片想いしてた。でも……。
「あれ、今日もネックレスしてないんだね」
今日も授業の中に体育があり、しいちゃんが私の首もとに注目する。
蓮がネックレスのことを覚えていなかった理由。ただ単に忘れてしまったんじゃないとしたら……。私の頭で浮かんでくるひとつの答え。
『こんなネックレス、鎖と一緒だな。いつまでもあの日のことばっかりに縛られて、他のことは全然見ようともしない』
まさか、5年前の水族館の時は……。
と、その時。教室のドアが開いて、学級委員長である女子が顔を出した。
「みんな貴重品は忘れずに持って出てね」
そういえば朝のホームルームで盗難が多発してるって言ってた。クラスメイトたちはカバンからお財布を出して、私はお財布と制服のポケットに入っているネックレスを取り出した。
一応、貴金属だし、なにかあったら困るから。



