たとえばきみとキスするとか。



ドクン、ドクンと心臓がうるさい。

私は心で整理ができずに「ご、ごめん。蓮。部屋に戻るね……!」と慌てて立ち上がった。だけど長い時間同じ体勢で座っていたため、足が痺れてよろけてしまった。


「危ない……っ」

そんな私を支えるように蓮が手を伸ばす。

「あ、ありがとう」と、お礼を言ったあとも蓮は手を離さなくて、私はそのまま優しく引き寄せられた。

ドクンドクンと、さっきの動揺とは別の音。


「れ、蓮?」

名前を呼ぶと、蓮はさらにきつく私を抱きしめた。


「ねえ、莉子。前に俺が恋をしたことがあるって聞かれて、あるって答えたの、覚えてる?」

「……うん」

あれはたしか、ふたりで行ったコンビニの帰り道だった。蓮があるよと言った時、私は臆病に『そうなんだ』としか言えなかった。

怖かったのだ。蓮が誰に恋をしたのか知りたくなくて。



「俺が恋をしてる相手は莉子だよ」

ドクンッと、天井に届くぐらいの勢いで心臓が跳ねた。


「俺は小さい時から、莉子のことしか考えてないよ。好きなんだ、莉子のこと」

力強く抱きしめられている腕が熱い。顔でお湯が沸かせそうなほど、私は耳まで真っ赤になってると思う。


蓮が私のことを?……嘘、でしょ?

これは現実なのか、夢なのかまだ判断できないくらい心で整理することができない。


「返事はすぐにじゃなくてもいいよ。でも、俺がそういう気持ちだってことは覚えておいて」

蓮は私の髪の毛を優しく撫でた。