たとえばきみとキスするとか。



「なにしてるの?」

「……わっ」


急に耳元で囁かれて、私は思わず大きな声を出す。


「しー!」

「れ、蓮が脅かすから」

「はは、ごめんね」

蓮は空席になっている私の隣へと座った。てっきり勉強しに来たのかと思ったけれど、私が図書室に入っていくのが見えたから来てくれたらしい。


「莉子はテスト勉強してる?」

「う、うーん……」

私は急に口を濁す。


頭のいい蓮と違い、私は確実に勉強しなければいけない立場なのにまったくと言っていいほど手をつけていない。

そんな私を見て蓮はクスリと笑った。


「じゃあ、一緒にやる?」

「え……?」

「今度、夜に俺の部屋においで」

ドキリと、蓮が反則的な顔で言った。


ただでさえ零のことで余裕がないっていうのに、なんだかこの双子に私はかなり振り回されてしまっている。


「あれ、これって……」

蓮が私のカバンを指さした。そこには愛らしい瞳をしたクマのマスコットキーホルダー。


「なんかこの前、零の部屋でも見た」

「え?」

「棚に置いてあって、零にしてはずいぶん可愛いもの持ってるなって言ったらうるせーって怒られたけど」


昨日、私が部屋に入った時にはなかった。もしかしたら蓮に見つかってどこか違う場所に隠してしまったのかもしれない。