たとえばきみとキスするとか。







「莉子ちゃん。もうすぐご飯だから零のこと呼んできてくれる?」

その日の夜。雪子おばさんはキッチンで唐揚げを揚げていた。晴彦おじさんはまだ仕事から帰ってきていなくて、蓮は雪子おばさんにマヨネーズを買ってきてと頼まれてコンビニへと行った。


――コンコン。

正直、かなり気が重かったけど、私は零を呼びに部屋へと向かった。

 
『本当にうぜーよ。お前。俺が島崎となにかあったらなんなの?なにかあったら、お前の中でなにか変わってくれんの?』

あの日から零とはまともに話していない。というか明らかに避けられていることは分かっていた。


「れ、零。ご飯だって」

私の声が小さすぎたのか返事はない。

もう一度同じ言葉を繰り返しても、やっぱり部屋からは物音ひとつしなかった。


もしかして私だからシカトされてる?

なんだか私もムキになってしまい、「零、聞いてるの?」とドアを開けると、零はベッドの上にいた。


大きな身体は微動だにしなくて、足音をたてずにそっと近づくと……蓮は眠っていた。


最近は以前にも増してかなり不機嫌で、起きていても睨むような瞳しかしない零が、とても穏やかな顔で寝ている。


……寝顔、久しぶりに見た。

小さい頃は同じベッドで寝たこともあったし、零の部屋で一晩過ごしたことだってある。

でも今はきっとできない。