「零くんって、見かけによらずけっこう優しいよね」
柊花が付き合ってた時を思い出すように言った。
「基本的にはデートはどこでもいいって私任せだったけど、歩くスピードも食べたいものを全部私に合わせてくれて、絶対に歩道では零くんが車道側だった」
そんな時間を過ごしていたなんて、私には想像もできなかったけれど、今、想像できてしまった。
「こんなこと言うのは恥ずかしいんだけど、初めてのキスの時も零くんはすごく優しくてね……」
ドクン、と胸の鼓動とともに爆弾を投げられたかのように頭が真っ白になる。
柊花はまるで零にまだ想いがあるように顔を赤らめて、付き合っていた時の出来事を私に話してくれたけれど、耳が遠くなったかのように全く入ってこなかった。



