「ふーん。じゃあ、莉子が感じた微妙な空気っていうのはやっぱり付き合ってたことがあったからだったんだ」
夏から冬までということは、おそらく期間にすると半年くらい。
誰とも付き合ったことがない私はそれが長いのか短いのか判断ができないけれど、少なからずふたりは私の知らないところで会ったり、話したり、彼氏彼女の時間を過ごしていたということ。
「ショックだったの?」
「え?」
「零くんとその柊花ちゃんって子が付き合ってたこと」
たしかに私のモヤモヤの中にショックという感情はある。だってふたりがそんな関係だったなんて、一ミリも気づかなかったから。
「柊花は友達だし、零は幼なじみだし、私にとって近いふたりが内緒で付き合ってたなんて……」
「だからショック?」
「………」
「零くんに彼女がいたことが、じゃなくて?」
しいちゃんの鋭い指摘に私は口が重くなる。
私はなにに対してショックを受けたのだろう。
もちろん柊花とのことはビックリを通り越して衝撃だったし、どういう経緯でそんなことになったのか、なんて私に分かるわけがない。
でも、内緒にされていたことがショックなら、相手が柊花じゃなければ私はショックを受けなかった?
実は彼女がいたんだよねって、あっけらかんと打ち明けられていたら、私はこんなにモヤモヤすることはなかった?
どっちにしても、私はきっと……。
「零くんに彼女がいてショックって、顔をしてるよ。今の莉子は」
そう、私の気分は晴れないのは、簡単な理由だ。



