たとえばきみとキスするとか。






次の日。零は私を避けるように早めに家を出て、学校に着くとすでに自分の机に顔を伏せていた。


「莉子、おはよう」

しいちゃんの手にはひと口サイズのチョコレート。一緒に食べようと私の机に置く。


「ねえ、しいちゃん。ひとつ確認したいことがあるんだけど……」

「ん?」

私の手はチョコではなく自分のスマホへと伸びて、ギャラリーの中から一枚の写メをタップする。


「この前言ってたS女の人って、もしかしてこの子?」

それは柊花の写メだった。

中学の時に一緒に撮ったものだから少し古いけれど、実際に話したしいちゃんなら顔は覚えていると思ったから。


「あ、うん!そう、この子!」

……やっぱり。つまり柊花は零に会いにうちの学校に来たってことだよね。受験がはじまる前に別れたって言ってたけど……。


「もしかして莉子の友達?」

浮かない顔の私を見てしいちゃんはなにかを察したようにチョコを食べるのをやめた。

そして人の恋愛話を本人がいないところでするのはあまり好きではないけれど、このモヤッとした気持ちをどうにかしたくて私はしいちゃんに昨日の出来事をすべて話した。