たとえばきみとキスするとか。




そのあと柊花と一時間ほどお茶をして、駅前で別れた。そして家に帰ると、まだ蓮の姿はなくリビングには零だけ。


零はソファーでテレビを見ていた。

私のことをチラッと見たあと「おかえり」と言うわけでもなく、また画面へと視線を変える。



――『それは秘密かな。そうしようってお互いに約束したから』

あの言葉が、ずっと耳に響いていた。



「……ねえ。私、柊花と会ってきたんだ」

報告するフリをして零の反応を見る。だけど零は「へえ」と興味がない返事をするだけ。

どうせ遠回しに探ろうとしたって、零が隙を見せないことは分かっていた。だから……。


「柊花となにか秘密ごとがあるんでしょ?」

前の私だったら、零のことなんて気にならなかったし、柊花となにかあったとしても、こんなに胸がモヤモヤしたりはしなかったと思う。

でも、今は気になる。

零と柊花に、なにがあったのかを。


「……お前には関係ない」

零がこっちも見ようともせずにそう言った。

その瞬間、沸々と怒りが込み上げてきて、自分の口じゃないみたいに勝手に動く。