「しゅ、柊花は彼氏いるの?」
「今はいないよ」
〝今は〟ということは、前にいた?
私の記憶では中学の時はそんな人いなかったし、卒業するまでの間に柊花から彼氏の話なんて聞いたことがない。
「前の人は高校で知り合った人?」
「はは、どうかな」
カランと、アイスティーの氷が崩れてうまく誤魔化されてしまった。
なんだか私はずっとモヤモヤとしている。やっぱりそれは昨日感じたあの空気感。
「柊花と零ってさ……なんかあった?」
確信なんてないけれど、なにもなかったら生まれない空気がふたりからは確かに漂っていたから。
柊花はアイスティーをストローで飲んだあと、ニコリと私のほうを見て笑う。
「それは秘密かな。そうしようってお互いに約束したから」
それは答えと同じようなもので、零と柊花には私の知らない〝なにか〟がある。
秘密にしようと約束するぐらい、大きななにかが。



