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 食事を終えて自室へと戻ってきた私は、携帯を開くと画面をスライドさせた。


「まだ、既読にならない……」


 手元の携帯を眺めながら、ポツリと小さく呟く。その視線の先には、香澄とのメールや通話の履歴が表示されている。


(どうしたんだろ……)


 バイトで顔を合わせた日以来、香澄と連絡がつかないのだ。

 私の家を探すと言っていた香澄。
 その日、私はバイトが終わるとすぐに香澄に電話を掛けてみた。
 数回鳴らしても繋がらない電話に、諦めた私はメールを送信しておいた。それが、未だに未読のままなのだ。


『静香さん。今日って、誰か家に来ましたか?』


 3日前、帰宅した私がそう尋ねると、『誰も来てないわよ。どうして?』と不思議そうな顔をしていた静香さん。

 あの日——もしかして、香澄は何処で事故にでも遭ったのだろうか……? 
 そんな不安が、頭を過ぎる。

 私は通話ボタンを押すと、手元の携帯を耳にあてた。規則正しい呼び出し音は、何度も耳に流れては消えてゆく。
 一向に繋がらない携帯を耳から離すと、諦めた私は小さく溜息を吐いて携帯を閉じた。


(……明日は、確か香澄とシフトが同じだったはず)


 明日になればバイト先で会える。
 そう思った私は、ベットに横になると重たくなってきた瞼をゆっくりと閉じたのだった。