神様修行はじめます! 其の五のその後

「そんなこと、お前などに言われんでもわかっている」


「我らはその資格を充分に備えている。なにしろ誇り高き上位一族なのだからな」


「さよう。少なくともお前などより、我らの娘の方がよほど当主様にふさわしい」


 3人は胸を張って、得意顔で威張り散らした。


「ふーん。じゃ、これはなに?」


 そう言ってあたしが胸元から取り出したのは、愛用のスマホ。


 初めて見る物体にキョトンとしている連中の目の前で、あたしはスマホを操作して、ひとつの動画を「これ見て」とご披露する。


 不思議そうに動画に見入っていた3人の目が大きく見開かれて、顔色がみるみる青ざめた。


 それも当然の反応。だってスマホから聞こえてくる音声は……。


『た、頼む絹糸! 我らを守ってくれ!』


『私には妻も子もいるのだ! どうか助けてくれ! いや、どうか助けてください!』


『この通り、この通りです!』


 あたしはニンマリ笑ってやった。


 そう。これはさっきの、鬼に襲われていたときのあんたらの様子でーす。


 絹糸に泣いて縋って頼み込んでる情けないシーンを、バッチリ撮影させてもらいました。


 ヤラセは一切なし。完全ドキュメンタリーだよ。


「ほほう? これはこれは」


 3人の頭の上からヒョイと画面をのぞき込んだ絹糸が、楽しそうな声を出す。