神様修行はじめます! 其の五のその後

「さて、当主様。この状況をどうなさるおつもりですかな?」


 まさに『水を差す』という感じで、ひどくツンケンした声が耳に飛び込んできた。


 振り返ると、例の上層部の3人が冷淡な顔でこっちを見ている。


 あたしの胸にほとばしる熱い感動が、この顔を見たとたんに干潮時の波みたいにスーッと引いていった。


 忘れてた。そういやコイツら、いたんだっけ。


「どう、とはどういう意味だろうか?」


 まったく空気を読む気がないらしい3人に対して、門川君もすっかり無表情になって答える。


 そんな門川君に対して、3人はここぞとばかりに文句を言い連ねた。


「それは当然、この騒動の責任の所在にございます。天内の小娘が正門を開けた不始末が原因とか」


「一歩間違えば、神の一族に多大なる被害を及ぼしておりましたぞ?」


「その赤鬼さえ異界に戻しておれば、このような事態は起きなかったのではございませぬか?」


「さようでございます。そもそも、天内の小娘を現世に戻していれば」


「いや、そもそも天内の娘をお側になど置かなければ……」


 ネチネチネチネチ。ぐちぐちぐちぐち。エンドレス。


 あーもー、うるさい。


 性格の捻じくれたシュウトメか、お前らは。


 顔だけは神妙そうだけど、心の中では得意満面なんだろう。


 こうしてあたしやしま子の責任問題をできるだけ大きくして、門川君を追い詰めるつもりに決まってる。