しま子がこうして戻ってくれて、全員が揃った。


 さあ、ここからまた始まるんだ。


 これからあたしはまた同じようなことで悩んだり、迷ったり、何度もつまずいたり転んだりするだろう。


 それでもきっと大丈夫だ。


 転んで痛い思いをしたって、疲れてしゃがみ込んだって、いつか人は立ち上がるし顔を上げて歩き始める。


 闇の中に囚われなければ、不運や不遇としか思えない状況からいつか芽が出て、花が咲くかもしれない。


 そんな保証はどこにもないけど、咲くかどうかはフィフティ・フィフティ。


 もしも進んだ先が行き止まりでもどこかにきっと道はあるし、生きていくことを諦めない。


 ぜったいにぜったいに諦めない。


「天内君、行こう」


 門川 永久。こんなにも愛しい人が、『共に生きよう』と言ってくれる。


 ならば、この比類なき僥倖を胸にあたしは行くさ。


 腹をくくって根性キメて、どこへだって、果てまでもね!


「うん! 一緒に行こう!」


 あたしの声を合図のように、みんながその場からの一歩を踏み出した。




【END】