【完】溺れるほどに愛してあげる



体育祭が終わって、少しだけ金田に近付けた気がした。



…気がしたのに、実際の距離は離れてしまった。


だって、もう彼らの元に行く理由がなくなってしまったから。


体育祭への勧誘として来てただけ。



でもそれももう終わってしまったから…

ここ1ヶ月、顔も見なくなってしまった。


金田が教室に来ることもなく、あたしもお昼休みに屋上へ行くこともなくなった。





「…あ!」





だから久しぶりに見たこの顔を嬉しく思ったんだと思う。


そうじゃなかったら話しかけないよ。





「久しぶり!
元気してた?」

「お、お前…」





綺麗なくらいのまんまる坊主、亮くん。


あたしを見るなり、げって口に出そうなくらい眉間に皺を寄せて少し後ずさる。


何よ。別に話しかけたっていいじゃん。





「しばらく見ないと思ったら…
聞いたのか?」

「え、何を?」





金田達の情報はほとんど入ってこない。


…見かけたっていうのは聞くけど。


主に女の子から。


前にも金田が王子か何かのような反応をしてる子がいたけど…最近増えてきてる。


イケメン…だからかな。

それは認める。


怖くないのって聞いたら


近付けないけどワイルドで格好いい!


って。


見た目ががっちり不良で怖いのに、目はすごく冷ややかでクール!


って。人気が出始めている金田 千景。



それに伴って正直少し焦っているあたし。



だってさ、好きだって気付いちゃったの。


そんな人が女の子から人気…なんて不安しかない。


この前までは何だか金田と近いところにいると思ってた。


少なくとも他の女の子よりは…


でも今は他の子と変わらないじゃん。

そんなの嫌。不安。


もし、この亮くんとの出会いがきっかけとできるなら…?


あたしはこの機を逃すわけにはいかないんだ。