大体の流れに沿って書いていく。納得のいかない台詞は後で直す。とにかく今は書き切る。
思い描いていた光景を紙に表していく。勉強中、書きたくても書けなくてうずうずしていたんだ。


受験から解き放たれた腕と脳は、その力をフルに使って働く。本当にやりたかったことはこれだ!
それからの私は目が覚めたかのように、圧倒的なスピードで書き進めた。四月とは比べ物にならない。


右に重ねた紙がどんどん増えていく。
取り合えず書き終えた。私の全てを注ぎ込んだ長編だ。私は右に重ねた紙をトントンと整え、一番後ろの紙を見直す。


さて、直すところがいっぱいだ。また腕が痛くなると思うけど、完成したものを見れると思えば苦にならない。


またシャーペンを持ち、今思い付く最善の言葉を使う。
四枚目で、流石にきつくなってきたから手をぶらつかせた。
本当は演じたかったし、演じてほしかった。高校でも演劇部を作るつもりだったし。ポスターも描くくらい気合い入れてたのに。


やっぱり、この劇を完成させたい!
その気持ちは抑えられない!たとえ幽霊になったとしても、その夢を諦めず脚本を抱き続ける。


死ぬ気がしない。そうだ、皆で生き残ろう。
私はここで諦めたりしない。


受験勉強や失恋とかで自分を見失っていた。


「優御~!ご飯よ~!」


もうそんな時間か。お腹も空いてる。食べなきゃ動けないよね。