校門の前に来たときも茜ちゃんの姿は見えない。ギリギリの時間なのに……。


茜ちゃんはどうなったのか……不安なまま教室に入る。
チャイムが鳴り終わってしばらくした。遅れてドアが開く。


茜ちゃんだ!
皆が茜ちゃんを見る。私のそばに来て一言。


「大丈夫って言ったでしょ」


その笑顔を見て一気に力が抜けた。
早足で席について、またドアが開く。


「おはようございまーす!」


先生は皆に反してテンションが高い。
指差して人数を数え、今日の予定について話す。


「今日は社会人になったら必要なマナーを勉強した後、二時間目は外で体育です。着替えずに外に出てください」


体操服は持って帰っていたので一瞬ヒヤリとしたけど、着替えなくていいのか。よかった。


先生が教室から出ていくと、張り詰めていた空気が緩んだ。
そこですぐさま茜ちゃんの所に向かった。


「近道でも使ったの?」


「ううん。私は遅刻したくらいじゃどうってことないの。それに、朝は先生の機嫌がいいから」


機嫌で殺されるのか……理不尽だ。私はってことは贔屓もあるんだ。


「春菜も大丈夫な方だと思うけど、たまにとんでもないことするからねー、気を付けてね」


「うん」


私はパニックになると何をしでかすかわからないから……。