「...咲誇」
階段を下りようとした私の背後から、蓮央の声が聞こえた。
振り向くと、彼はいつもの顔で私を見ていた。
...風邪、治った?
「お前が今、欲しいものって何だ?」
「え?」
「...て言っても、モノじゃないから。
心の中で、お前が本当に望んでることは?」
私が...望んでいること。
それは、復讐。
彼らへの、私自身による復讐。
あとは...。
「俺らが全部叶えてやる。お前が欲しいもん、全部やる。だから1ヶ月と言わずに、ずっとここにいろよ」
その言い方はまるで、私が欲しいものを全て分かっているようだった。
私が欲しいもの...。
それは、あまりに平凡だけど、あまりに贅沢なもの。
信じ合える仲間。
私の居場所。
そして、好きな人との永遠の愛。
数ヶ月前の私は、この3つを胸に抱いて生きていた。
これが私の生きる意味だった。
だけど、全てを失って。
もう求めるのはやめようと思った。
それなのに...
この男は、またそれをくれると言う。
私の求める全部を。
それが本当かどうか分からないけど、実際、そのうちの一つはくれたわけで。
あと二つ...
本当に、くれるのだろうか。


