ご飯は皆が揃ったら。




制服はしっかり着こなし、鼻が高く端正な顔に眼鏡をかけ一見優等生風。
でも耳にはシンプルなピアスが光っていて、シルバーのリングとよく合っている。

「芝崎《しばざき》斗真《とうま》です。これからよろしくお願いします」

淡々と自己紹介をされ、あたしも慌てて挨拶をし返す。

身長と、この落ち着いた声音のせいもあるだろうけど、随分大人びた子だな。
彼の左右を取り巻いて騒ぐ2人とは全く違うタイプだ。
そういえば写メの中に、一人だけピースをしてない子がいたっけ。

まだ笑顔を見せる気配はない、けれど無愛想というわけじゃないようで2人の頭に手を乗せて押し付けながら
「ここ騒がしい奴しかいないんで。迷惑かける前提でいろいろお世話になります」と続けた。

「あともう1人いるんで」
「えっ?」

あ、ヘッドロックに変わった。
やっぱり男子高校生らしさは兼ね備えてるんだと安心し、もがく2人を眺めていると不意に斗真くんが顎で背後を示す。
覗き込むようにしてそちらに目をやり、ビックリ。

入り口から身体を半分だけ出し、あたしたちの方をじーっと見つめる、小さな影。
不安気に揺れる大きな瞳の正体はすぐにわかった。

この子が、例の理来くんだ。