ご飯は皆が揃ったら。




これは良い意味でお調子者なタイプかな。
そういえばさっき透くんに声をかけていたのも、この隆弘くんな気がする。

「大親友になった覚えないんですけどー。渋々知人な程度」
「ひっど!」

こういう子はいるだけで場を明るくしてくれるし、見ていてこちらも気持ち良い。
あしらう環くんも楽しそうしていて、2人が大親友というのは嘘じゃないだろう。
でもあたしに対する時々首を傾げたくなる言動は、この関係から培ってるみたいだな。

「あのー、今度から俺らの飯作ってくれるんすよね」
「はい。前の寮母さんにはかなわないと思いますが、精一杯務めさせて頂くつもりですよ」
「やったー!もう皆のまずい飯食わなくていいんだあ~」

荷物をテーブルに放った隆弘くんが両手を上げて喜んでいる。
環くんもめいっぱい頷いているけど、そんなに凄い味だったんだろうか。

「お前らが作ったのが一番不味かったけどな」

料理の知識が乏しい高校生男子が作った物・・・一周回って逆に食べてみたい気もする。
何を作ったのか聞いてみようとしたその時、飛び込むように少し低めの声が響いた。

思わず3人同時に入り口に目を向ければ、これまた背の高い男の子が無表情で立っていた。
180センチは軽く超えてそうなその子が、文句を言う2人など気に留めることもなく中に入ってきてテーブルの上に鞄を置く。
それからチラッとあたしに視線を合わせ、「ども」と頭を下げた。