ご飯は皆が揃ったら。




「なんだよー透!いないと思ったら帰って寝てんのかー!」

外で洗濯物を干す透くんの所で立ち止まったらしく、1人の大きな声の後、次いで何人かの笑い声が響く。
反射的に身構えたものの、心の準備をする時間くらいは与えてもらえそうだな。

「バーカどう見たら寝てんだよ!」

すぐに一層大きな声で返す透くんが、文句を言いながらも表情はにやけているのがわかる。
それくらい、皆が良い雰囲気だというのが伝わって、頭の中にあの写メの笑顔が浮かんだ。

「おい環!塔子さん待ってんぞ!」
「へえっ!?」

透くんの予期せぬ声かけのおかげで、珍しく呆けた声が聞こえる。
直後、バタバタとこちらへ駆け込んでくる気配がして、水道を止めて出迎える準備をした。

けど、この足音は2人分だなあ。
あたしの知ってる環くんは1人しかいないはずだけど、と少しとぼけたことを考えながら入り口に身体を向ける。

すると、駆け込む音はどんどん大きくなり、勢いよく飛び込んでくる人影が・・・二つ。

「もー、なんだよ隆弘!」
「いーじゃん、俺も見たいの~!」

押し合いへし合いながら現れたのは見知ったわがイトコと、ジャージに身を包んだ男の子だった。

2人はお互いちょっかいを出し合いながら近づいてきて、タオルで手を拭いているあたしの前で止まる。
そして示し合わせたようにパッと同時に顔を上げ、まず環くんがへらっと笑った。