ご飯は皆が揃ったら。




2人は大歓迎とまではいかないものの、道場さんは片手を上げて挨拶を返し、尾澤さんもおずおずといった感じで頭を下げてくれる。
しかしあたしも含めて次に繋がる言葉は生まれず、しばし見つめ合い。

「塔子さん24歳だって。2人と同じっすね」

無言の空間を壊してくれたのは、あっさり人の年齢をばらす透くんだった。

「へえー。そりゃあ若いはずだね。な」
「お、おう。そだな・・・」
「まあ環のイトコってくらいだから、そんなもんか」
「そう、だよな」

あたしの年齢に対してそれなりに驚き、でもすぐ受け入れた様子の道場さん。
なんだか気まずそうに友史さんの方をチラチラ見る尾澤さん。

この反応はどう取ればいいのだろう。前の寮母さんに比べて、まだ未熟そうと思われた?
そんなことなら、チーフ時代に腐るほど経験してるので、いちいち落ち込まない。

だけど――

「ん?なんかピーピー鳴ってる」
「洗濯終わったんじゃない?」
「そうだ。俺干してくるから、塔子さんは2人と話してて良いよ」

遠くから反響するピーピー甲高い音に気づいた透くんが、あたしの肩をポンと叩いて食堂から出て行く。
その姿を目で追った2人が、再び視線を通わせてからあたしに向き直った。

「お茶でも飲みますか?」

とりあえず、腹を括ろう。
久野さんも書類を提出した以上寮母だと言っていたし、あたしが図々しくお茶を出しても問題はないということで。

さっき透くんがしてくれたように食器棚からコップを出し、冷蔵庫を開ける。
同じペットボトルが山ほどあるから、これは誰が飲んでも良い分のはず。
コポコポと注ぐ音の奥で、2人があたしを凝視してるのがわかる。

決して、好意的ではない表情で。