ご飯は皆が揃ったら。




しかし客観的・・・というより、他人事目線で言わせてもらえば、確かに女子がパパラッチ化するのも無理はない。

理来くんと昴くん。
まだ見ぬはずの二人は、実際に会わずともこの写メだけでイケメンだと確信できるほど整った顔をしている。

口元だけは微笑んでるけど、眉を下げ、ぱっちりした目を潤ます理来くんは、母性本能をくすぐる子犬タイプ。
対して元気よくピースをし、爽やかな笑顔を向ける昴くん。まるで少女漫画に出てきそう。

「人気者が勢ぞろいするのも大変なんだね」
「こいつらのせいじゃないけど、めんどくせえって思うときあるよ。おばちゃんが辞めた後、お手伝いっつって雅さんが何人か連れて来てくれたんだ。
でも飯はインスタ映え~とかって甘ったるいパンケーキしか作んねえし、掃除はスルーだし、あとはずっと雅さんの部屋から出てこねえし」

それは来た時点で下心満載だったと気づこうよ。
見抜けないほど切羽詰まってたってのもあるだろうけど・・・

「来るのはそういう女ばっかで皆キレてた。でも寮母さんがいねーと、俺らじゃロクに飯も作れないしマジで参ってて・・・
塔子さんが来てくれて良かった」

ニカっと、本当に邪気なく向けられた笑みに思わず胸が締め付けられる。
誰かに、心から感謝されたのはいつぶりだろう。

「期待に応えられるよう精一杯頑張ります」
「おうっ。頑張ってくださーい」

おどけながら、持っていたコップを差し出してくる透くん。
ちょっと大人びた行動に笑みを零して、あたしもコツンとコップの淵をぶつけて。
お互いもう空なのに、笑い合ってわざと飲み干すふりをした――

そんな時、玄関のドアがガチャリと開く音が聞こえた。