一面の水撒きも終わり、多少汗ばんだところでまた室内に戻る。
洗濯が終わるまではあと20分。
どうする?とお互い目で尋ね、とりあえず食堂へ向かう。
すると冷蔵庫に直行した透くんが、あたしの分までお茶を注いでくれた。
気が利く、とそれを受け取り、一番端の席になんとなくお互い向き合って座る。
「塔子さんていくつ?」
「24歳だよ」
「マジで!結構落ち着いてるよな。24って、雅さんの取り巻き女と同じくらいだろ?もっとすげえケバいし、うるさいよ」
「さっきから気になってたんだけど、その雅さんっていうのは大学生なの?」
「そう。加純さんと同じ院生・・・なんの研究っつったかな?結構マニアックだったかも。加純さんは歴史で、よく城とか行ってる」
加純さん、忙しくクールで歴史好きな寮長なわけね。
ますますイメージが固定されてくなあ。
想像の彼はクイッとメガネのフレームを上げながらお城を見上げ、雅さんとやらはスーツに身を包みサングラス・・・これじゃホストだな。
絶対微塵もあってないだろうイメージ。
早く本物に会って覆したいような、まだ緊張の方が勝ってしまいそうな。
「雅さんはすげえよ、超モテんの。毎日違う女と歩いてるとか、学内の大半とやったとか、俺らんとこまで流れてくるんだぜ」
「まー健全な高校生を前に・・・カッコいい人なんだ?」
「うん、俺から見ても雅さんはイケメン。んで、女好き。雅さんは、どんな女でもコクられたら絶対一回は相手するんだって。
顔じゃ判断しないんだから、良い人だよ」
「うん・・・」
それって良い人というか、来るもの拒まずなだけでは?

