「塔子さんそっち撒いてー」
「撒き過ぎじゃないの?もう葉っぱが浸ってるよ」
「だって暑いしすぐ乾いちまうだろ」
「そう言う問題じゃないの、ちゃんとその種類に見合った育て方があるんだから」
ハイ終わり、と水を止めれば、こっちを見つめてくる透くん。
ハッとするあたし。
まずい、怒った?
いきなり出しゃばり過ぎたかな。
けれど次の瞬間にはもう透くんは笑ってて「塔子さんおばちゃんみてえ」と呟く。
前の寮母さんと重ねてくれたことに安堵し、ホースを受け取って元の位置に戻した。
「って、おばちゃんてこの間までいた寮母さんのことだから!塔子さんがおばちゃんだって意味じゃねえよ」
コロコロと変わる表情も可愛い。
今どきの男子高生、どんなものか不安だったけどひとまず良い子に出会えたようだ。

